Jinmas chips

道徳を忘れた経済は罪悪であり、経済を忘れた道徳は寝言である。 食育を忘れた食産業も犯罪であり、食産業を忘れた食育も寝言である。 食産業に従事するものとして、明確に立場を決めていくべき時がきたのかもしれません。
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近頃、TED Talksが勉強になるので、よく見ています。

そこでは、いろんな分野のオーソリティがプレゼンテーションする動画を見れます。

その何れもがとても興味深い内容で、勉強になります。

今日はそのウチの1つを取り上げてみようかと思います。


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一時期、我が家のケーブルテレビではこのジェイミー・オリバーの料理番組が放映されていて、毎朝家内と見てたんですが、軽快なトークと鮮やかでワイルドな手法で、とても美味しそうな料理を作ります。

それはさせおき、この動画で彼はアメリカの肥満問題に焦点をあて変革の必要性を訴えています。

肥満の原因は敢えて詳細に言及することを避けてますが、糖質の過剰摂取を中心にプレゼンテーションを展開しています。
その点でもボクには共感するところは多いのですが、ここではその是非を語るよりも、更にその本質的なところをフォーカスしてみたいと思います。

ボクの精神支柱となりつつある二宮尊徳翁の教えと、このプレゼンテーションの共通性に着目します。

二宮尊徳はその教えの重要な1つとして、天道と人道を明らかにし、大道を説いています。
天道とは天地自然に学ぶ教えといってよいでしょう。
昼があれば夜がある。暑があれば寒がある。晴があれば雨がある。天災があれば平穏がある。
こうした、天地自然が繰り返す教えを天道としています。
それに対し人道は天地自然の中で人間が生きるための創意工夫する営み。
昼に働き夜休む。暑を避け寒を凌ぐ。晴に動き雨に宿る。天災に耐え平穏に備え拓く。
天道の理を正しく受け入れ、慎ましく人道を尽くすことこそが大道というわけです。

さて、ジェイミー・オリバーのプレゼンテーションで訴えていること。
アメリカの食事情はこの大道から大きく逸れていると、危機を訴えているわけです。
このプレゼンテーションでは食生活が乱れれば肥満となり、それは人の生死に関わる社会問題の中でも最も深刻であると主張します。この問題は天道にも人道にも反する問題です。

尊徳は天道とは放置すれば田畑が荒れ果てる如く還っていく天地自然の理であり、人道とは世のため人のために治水開拓に力を尽くし、築き保って荒廃を除くことであると説いています。

食に関する天道とは即ち、食べなければ飢えるということです。そして人道とは栄養ある食事を摂り生きるための力を蓄え未来へ備えることと考えられます。
ですから、食をめぐる欲望に対し、不健康な食事を摂取あるいは提供し、未来を危うくすることは、天道にも人道にも反し、よって大道に反することであると言えます。

現代社会はこの大道に反する営みを、社会システム全体で正当化してしまっています。
このプレゼンテーションで、ジェイミー・オリバーはそうしたことを明らかにし、大道としての食育の必要性を力強く訴えており、心打たれ深く考えさせられます。

二宮翁夜話という二宮尊徳の語録集があります。そこではこのように語られています。

    人道はたとえば、水車のようなものだ。
    その形、半分は水流にしたがい、半分は水流に逆らって回っている。
    まるごとに水中に入れば回ることができず流れてしまうであろう。
    また水を離れれば回る事はない。
    仏教の僧侶のように、世を離れ、欲を捨てたのは、たとえば水車が水を離れたようなものだ。
    また凡俗の者が教義も聞かず、義務もしらないで、私欲一偏に執着するのは、水車をまるごと水中に沈めたようなものだ。ともに社会の用をなさない。
    だから人道は中庸を尊ぶ。
    水車の中庸は、よろしいほどに水中に入って、半分は水にしたがい、半分は流水に逆のぼって、運転が滞らないところにある。
    人の道もそのようで、天理にしたがって種を蒔き、天理に逆らって、草を取り、欲にしたがって家業を励み、欲を制して義務を思うべきである。

食を求むのは天地自然の天道であり、食を豊かにする取り組みは未来を切り開くための人道といえるでしょう。
しかしながら、現代社会の食事情は水にどっぷり浸かった水車そのものです。
ジェイミー・オリバーの訴える食育の必要性とは、尊徳の言うところの中庸を尊ぶことと言えるでしょう。

二宮尊徳「道徳を忘れた経済は罪悪であり、経済を忘れた道徳は寝言である。」
ジェイミー・オリバー「食育を忘れた食産業も犯罪であり、食産業を忘れた食育も寝言だよ。」

時を越え、場所を越え、立場を越えて、こんな風に二人は語り合ってるような気がします。

食産業に従事するものとして、明確に立場を決めていくべき時がきたのかもしれません。

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